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ルツェルン音楽祭サマーフェスティバルで体感する極彩色の音宇宙。トーマス・オスピタルがKKLに響かせる至高のオルガン

スイスの至宝、KKLコンサートホールが魅せる奇跡の音響

アルプスの山々に抱かれたスイスの美しい古都ルツェルン。毎年夏に開催される「ルツェルン音楽祭サマーフェスティバル」は、世界最高峰のオーケストラや音楽家たちが集うクラシック音楽界の頂点とも言える祭典です。そのメイン会場となるのが、ルツェルン湖のほとりに佇むKKL(ルツェルン文化・会議センター)のコンサートホールです。

建築家ジャン・ヌーヴェルと音響設計家ラッセル・ジョンソンが綿密な計算のもとに手掛けたこのホールは、無音の静寂からフルオーケストラの轟音まで、すべての音の粒を客席の隅々にまで届ける奇跡の音響空間として世界的な名声を誇ります。この類まれなる空間の正面に鎮座する、スイスの名門ゴル社製の壮麗なパイプオルガンが、果たしてどれほどのスケールで響き渡るのか。音楽を愛する方であれば、想像するだけで胸が高鳴るはずです。

 

パリからスイスへ。現代屈指のオルガニストが紡ぐ音のタペストリー

今回、KKLの巨大なパイプオルガンのコンソール(演奏台)に向かうのは、フランスが世界に誇る気鋭のオルガニスト、トーマス・オスピタルです。彼は弱冠25歳にして、パリのサン・トゥスタッシュ教会の正オルガニストに就任した類まれな才能の持ち主であり、パリ国立高等音楽院でも教鞭をとっています。その卓越したペダル(足鍵盤)のテクニックと深い音楽性、そして何千本ものパイプから色彩豊かな音色を引き出す天性のセンスは、世界中で高く評価されています。伝統的なレパートリーに対する深い洞察力と、驚異的な即興演奏の能力を併せ持つ彼が、ルツェルンの舞台でどのような音響体験を創り出すのかに大きな期待が寄せられています。

 

アメリカの風からフランスの深淵なる祈りまで。緻密に計算されたプログラム

今回のコンサートの白眉は、オスピタルの多彩な技量と音楽史への深い理解を存分に味わえる、緻密に構成されたプログラムにあります。

 

幕開けを飾るのは、ダドリー・バックの『星条旗』による演奏会用変奏曲と、チャールズ・アイヴズの『アメリカ』変奏曲です。誰もが耳にしたことのあるアメリカの象徴的な旋律が、パイプオルガンという重層的な楽器を通してどのように変容していくのか。和声の実験とユーモア、そして圧倒的な技巧が交錯し、オルガンが持つ華やかさと遊び心を存分に楽しめる選曲となっています。

 

続いて披露されるのは、セルゲイ・ラフマニノフ作曲、名手ルイ・ロビリアール編曲による『死の島』です。アルノルト・ベックリンの同名の絵画からインスピレーションを得て作曲されたこの重厚な管弦楽曲の特徴である、波のうねりを表す5拍子のリズムが、オルガンの多彩なストップ(音栓)を駆使することで、底知れぬ深淵さと神秘的な響きを伴って蘇ります。巨大なオーケストラの色彩感と重低音を、ただ一人で空間に描き出すオルガニストの真骨頂を味わえる時間となります。

 

後半の核となるのは、マルセル・デュプレの交響曲・受難曲です。この作品は、デュプレが1921年にアメリカのフィラデルフィアにある巨大なワナメイカー・オルガンで即興演奏したものを基に書き上げられた、フランス・オルガン音楽の金字塔です。キリストの生涯を描いたこの大曲は、極めて高度な演奏技術と深い精神性が要求されるため、オスピタルの音楽的解釈と表現の奥深さが最も試される聴きどころと言えます。

 

そして最後を締めくくるのは、イギリスの現代作曲家イアン・ファリントンの『ライブ・ワイヤー』です。ジャズやダンス音楽のリズム要素を取り入れた躍動感あふれるエネルギーに満ちたこの楽曲は、重厚な祈りの世界から一転して、コンサートの終盤を圧倒的な高揚感と生命力で包み込むことでしょう。

 

開催概要:ルツェルン音楽祭サマーフェスティバル

正式名称:ルツェルン音楽祭サマーフェスティバル (Lucerne Festival Summer Festival)

開催日時:2026年9月12日(土)17時00分開演

会場:KKL コンサートホール(スイス・ルツェルン)

出演:トーマス・オスピタル(オルガン)

 

プログラム:

17.00

ダドリー・バック(1839–1909)

『星条旗』による演奏会用変奏曲、 作品23

セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)作曲

『死の島』作品29、ルイ・ロビリアールによるオルガン編曲

チャールズ・アイヴズ(1874–1954)

『アメリカ』変奏曲

マルセル・デュプレ(1886–1971)

交響曲・受難曲Op. 23

イアン・ファリントン(*1977)

『ライブ・ワイヤー』

 

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音の波に全身が包まれる、生涯忘れられないルツェルンの夕暮れ

KKLの完全なる静寂の中、トーマス・オスピタルが最初の鍵盤に触れ、ペダルを踏み込んだ瞬間から、ホール全体がひとつの巨大な共鳴体へと変貌します。何千本ものパイプが同時に息づき、色彩豊かで圧倒的な音の波となって全身に降り注ぐ体験は、いかなる最新の録音技術でも決して再現することのできない、生の芸術の極致です。2026年の秋の始まりに、ルツェルン音楽祭サマーフェスティバルという最高の舞台で、あなたの魂を根本から揺さぶる至高のオルガン・サウンドを、ぜひご自身の耳と身体で直接体感してください。

 

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